しばらく更新していない間に機材も何かと入れ替わった。
以前より各方面のサイトの写真等から気になっていたLeica 35mm Summilux ASPH.。昨年秋に、金沢散策の極悪ご一行様にお借りし、一日散策の友として実写をさせていただいた。そして、その描写をかいま見ることが出来た。言わずと知れた現行35mmの非球面だがそれなりの高額につき気軽に手を出すって話にはならないが、やはり実際使ってみて、何を置いても手に入れたいと思った。
これもいろいろな方面を物色した。現行レンズなだけに、無駄な高騰も無く、かつ程度に不安視するようなものは少ないと聞いていたのだが、まず市場にあまり玉自体が存在しない。あっても予算に中々合わずと苦労したが、今年2月頃ようやく手に入れることが出来た。いろいろ苦労して手に入れたその玉は、程度も良く大変満足出来る一本だった。そして、やはり自分のものとなって使ってみるとあらためてその凄さを感じた。
真面目に、これ一本あったら他レンズは何も要らないとさえ思えた。
LEICA M8 / Leica Summilux 35mm F1.4 ASPH.
この写真は、今年2月Photolog
The catcher in the rayに掲載した、ペーパームーンの愛猫チビチビの写真である。
以前、Iさんにライカレンズって何が違うんかね〜、何気なく聞いたとき、ひとつに立体感って言葉があった。ん〜なるほど。一言で言うと非常にシンプルだがそれはやはり当然の事ながら凄いことである。そしてこの写真は正にそれを非常に表している一枚だと思う。「お〜!チビチビ〜、かわいいぜ〜」っていいながら何気なく撮った写真だが、戻ってMacで開いてみて正直、ギョッとした。
なんだこの空気感...。拡大すればするほどその凄さを感じた。
この距離で、目、鼻、ヒゲがキリっと立っていて、その奥がスっとボケている。
このピントの厚みにして、このボケ味。
恐るべしレンズだ...。
正直このレンズのピントの立ち方にはしびれるものがある。ボケに味わいがどうとかって話ではなく、この立ち方が、恐ろしく気持ちよいのだ。確かにSummaron 35/2.8を使った時もそうだった。そのピントの厚みが気持ちいい。そしてこのSummilux ASPH.はその薄い被写界深度に対してピントの立ち方がたまらなく気持ちいい。撮るもの撮るものこのレンズはその撮影者の意志を強烈に立たせてくれるのである。本当にもうこれ一本でいいくらいに思えた。
そして、もちろんの事だが、ライカレンズはルックスがいい。
やはりライカは60年代のクロームじゃないとって思っていたが、現行のこのマットの質感のライカレンズも美しい。スッとしたストレートの鏡胴に角形フード。やはり大口径ということもあり、手にもずしりと来る。そりゃM型に似合うようによう出来てるわ(笑)。
あいにく手に入れるにあたっていろいろ手放したものも多々有りで、最近はほぼこのレンズ付けっぱなしである。
あと、何気ない事だが、このレンズ、スペック的には最短70cmだが、ピントリングは60cmくらいまでまわる。っていうかそれは距離計も連動してのことなんで単純に60cmくらいまで寄れるのである。そらもう神のレンズである(笑)。
スナップシューター、レンジファインダーで言うところの標準レンズってやはり35mmであろう。
そのライカの現行35mmの非球面。そりゃただ者であるわけがない。個人的にどうなんだこれ?って思える描写でも、強烈な神話に包まれているレンズも多々ある。しかし、このレンズは、定番でありながら定番過ぎてか割と地味な存在であろう。正に自分にとってこいつは一生モノだと感じた。
Photo by EOS 5D / Carl Zeiss Planar 50mm f1.4